人が亡くなると・・・

人が亡くなるということは突然起こることが多く、葬儀は非日常的な儀式であることがほとんどです。
逝去から葬儀まで、どう進んむのか、どのタイミングで何をすればいいのか分からないという方が少なくありません。

 

お通夜を行い、翌日には葬儀・告別式、火葬をして故人の遺骨をお墓に納める。
漠然とこのような流れをイメージしているのではないでしょうか。

 

葬儀までの限られた時間に、準備や手続きなどやるべきことはたくさんあります。
逝去から葬儀までの日数が4日から5日というのが平均的なスケジュールになるようです。

 

 

万が一のことが突然訪れても慌てないよう、逝去から葬儀までのおおまかな流れを頭に入れ、
いざというときにスムーズに対応できるよう、心構えをしておきましょう。

 

生前に葬儀について考えるのは不謹慎だと考える方は多いのではないでしょうか。
医師から余命宣告をされている場合などは、費用面を事前に把握したいといった理由から生前に相談する方が増えています。

 

生前に葬儀社を決めていなかった場合、病院で逝去すると短時間で葬儀社を決めなければなりません。
病院によっては、2時間程度で故人を安置場所に搬送することを求められてしまいます。

 

 

そんな状況では、冷静に葬儀社を選ぶことは難しくなりますよね。
病院によっては提携する葬儀社を薦めるますが、その葬儀社の提示する金額が適正なのか判断するのが難しいでしょう。

 

そうならないためにも、あらかじめ葬儀プランやサービスの内容に納得して依頼できる葬儀社を決めておくのが賢明です。
葬儀社を選ぶ際には、複数の葬儀社から資料や見積もりを取り寄せ、充分に比較することが大切です。

 

通夜や告別式って?

通夜と葬儀・告別式はいずれも「葬式」の一部ですが、それぞれに意味があり、やるべきことも違います。
臨終→通夜→葬儀→火葬というように儀式は進みます。

 

一般的に通夜は、遺族や親族といった身内の人たちが集まり、故人との最後の夜を過ごすことを言います。
葬儀・告別式の前夜に行われ、読んで字の如く「夜」を「通して」故人を見守るという意味を持つのです。

 

通夜は古代の殯(もがり)に発しており、葬儀の前夜祭の形態をとっています。
誰かが寝ずの番をし、夜明けまで灯明や線香の火を絶やさないようにしなければなりません。
(交代でもよい。魔除けの意味)

 

近年では消防署の指導などにより、式場で夜間の火は焚かないよう指導が入ることもあり、
都市部の式場では夜通しではなく半通夜と呼ばれる形態で夜は遺族が帰ってしまう場合もあります。

 

 

通夜には亡くなった当日夜に納棺し親族だけで行う仮通夜と、翌日に一般の弔問客を迎えて行う本通夜があります。
また、日取りなどの関係で通夜をすぐ行えない場合、通夜を2日間にわたって行う時に1日目の通夜の事を仮通夜と呼びます。

 

通常は亡くなった翌日に、弔問客を迎えての通夜(本通夜・半通夜)を行い、翌々日に葬儀・告別式という日程が組まれます。
本来、通夜は親族や親しい友人など故人にゆかりの深い人々だけが夜通し故人に付き添って別れを惜しむためのものでした。

 

ですが、最近は、葬儀に参列できない人のために、友人・知人の弔問を受ける通夜(本通夜)が増えています。
現在では会場の都合などもあり2時間前後で終わる「半通夜」になっていることがほとんどです。
午後の6〜7時頃から行われ、2〜3時間程度でお開きになるのが一般的です。

 

以前は、特に親しい関係でなければ通夜には出席せず、翌日の葬儀・告別式に参列するのが一般的でした。
しかし、最近は昼間に行われる葬儀・告別式より出席しやすい時間帯に行われる通夜の方に参列する人も多くなっています。

 

 

通夜では、一同が着席した後、まず、僧侶の読経(どきょう)が行われます。
それが終わると遺族たちから順場にお焼香を行います。

 

儀式が一通り終わると、別室の通夜ぶるまい(お清め)が行われます。
それらが終わると、これでお開きとなります。

 

通夜ぶるまいは、別室でお寿司やオードブルなどの料理で弔問客をもてなされます。
地方によっては親族だけが参加し、弔問客は散会になることがあります。

 

通夜ぶるまいに誘われたときは、受けるのが礼儀とされ、一口でも料理に箸をつけるのがマナーとされています。
ですが、故人とあまり親しくなく、通夜ぶるまいは遠慮したほうがいいと思ったら、僧侶の退席に合わせて辞去します。
通夜ぶるまいで、あまり長居するのは失礼にあたります。

 

葬儀への参列経験がない方には、葬儀・告別式の違いがわからないという方も少なくないのではないでしょうか。
午前中から行われる告別式は、本来は葬儀式と告別式の2つの儀式からなります。

 

 

このうち葬儀式は、家族や親族が故人の冥福を祈り、見送る宗教的な儀式です。
一方の告別式は、友人や知人、会社関係や近所の方など、一般の方とお別れをする儀式です。
現在では、葬儀式と告別式と区別がなく、一連の流れで行われるのが一般的になりました。

 

僧侶などによる葬儀が終わると出棺が行われ、多くの参列者とは別れるのが一般的です。
出棺の際に、故人が使っていたご飯茶碗を割ったり、
座敷を掃き出したりカゴや臼を転がしたりする風習が残っている地方があります。

 

・火葬場に向かう道と帰り道は同じ道を通らない。
・一本道で難しい場合であっても、可能な限り同じ道を通らないように努力しなければならない。

 

上記は、埋葬した死霊が付いて来ない様にするためであり、逆に同じ道を通らなければならないとする風習もあるようです。

 

葬儀終了後に「振り塩」と呼ばれる清めの塩を撒くこともあります。
遺体を安置する場合には、遺体の胸の上に魔除けとして刃物を置く・・・これを守り刀と呼びます。

 

由来は武士の社会で、刀によって魔を斬るといった意味や魔物の使いとされていた猫が光り物を嫌がるので、
刀を置くことが魔よけとされたのが由来です。

 

 

遺体を安置すると、そこに供え物として枕飯や枕団子を供えます。
枕団子は米の粉(上新粉)などを丸めて作ったもので、数は地域によって差があります。
六地蔵、六道から六個とする説と、十三仏などからとった13個とする説があります。

 

亡くなった日から一個ずつ増やして四十九日までお供えし、49個飾る地域もあるようです。
枕飯はご飯を御茶碗に山盛りにして、御箸をさして飾るようにします。

 

一般に告別式は友引の日を避けますが、これは俗に“友を(死に)引かない”よう配慮するためとされます。
ただし、元来六曜は、仏教とは関係がない、賭け事や勝負事から入って来ており、
友引とは「勝負事で友人と引き分ける」という意とされ、陰陽道との混淆に由来しています。

 

ゆえに友引の日に告別式を行わない風習は迷信と考えられます。
火葬場は友引の日が休業日になっている所が多いのですが、友引でも休業日でない所も増えています。

香典について

一般的に通夜または葬儀・葬式(告別式)の際に持参する不祝儀を「香典」と呼びます。
香典は、線香・抹香や花の代わりに死者の霊前に供えますが、急な不幸による出費に対する助け合いの意味もあります。

 

香典は、通夜か葬儀・告別式のときに渡します。
通夜と葬儀・告別式のいずれにも参列する場合は、通夜の時に渡しておくのが一般的です。

 

 

表書きは、仏式では「御香典」「御香料」とし、宗教がわからないときは「御霊前」とします。
(浄土真宗に関しては、「御霊前」の表記は使えません。)
御霊前は、通夜・告別式のいずれでも使えます。

 

包むお札は、できるだけ使い古したものを使用します。

 

香典の金額相場は、故人との関係や、包む側の立場、慣習などにより異なります。
友人や勤務先関係者なら5000〜1万円、親戚なら1万〜3万円程度が目安になります。

 

香典の金額相場例(故人が親族の場合)

故人/自身の年齢  自身が20代 自身が30代 自信が40代
両親 3〜10万円 5〜10万円 5〜10万円
兄弟姉妹 3〜5万円 5万円 5万円
祖父母 1万円 1〜2万円 3〜5万円

香典はふくさに包んで持参しましょう。

 

 

香典返しは、葬儀や通夜で香典やお供物を頂いた方に、遺族がお礼の手紙をそえてお礼・お返しとして送ります。
一般的には忌明けの頃に送られるようです。

葬儀の種類

・直葬
直葬とは、通夜・告別式等々の宗教儀式を行わず火葬のみを行う葬儀形態のことです。
近年の日本では宗教観が変化し、人間関係の希薄化が進みました。

 

さらに高齢化のによって友人や知人がすでに他界していたり、高齢で葬儀に来られないという人が増えています。
また、経済的な問題等により、2000年ころから都市部などで直葬が増加してきています。

 

直葬は葬儀費用が平均で約18万円と安価になっています。
2013年に行われた調査によると、関東地方では直葬の比率は高く葬儀全体の1/5を占めているようです。

 

・助葬
助葬とは、行旅死亡人、身寄りのない生計困難者や身元不明人などが死亡した時におこなわれます。
縁者や関係者によって葬儀が行われず、社会福祉事業や慈善事業団体、NPOなどによって行われる形態の葬儀です。

 

助葬を担う団体や葬儀業者には、火葬から納骨までの費用を生活保護行政として各自治体が決めた定額内で支給されます。
火葬後は共同墓地や共同納骨堂に遺骨は納められますが、この段階までを助葬と呼んでいます。
一方、遺骨を納骨堂に預け引き取り人を待つ場合も少なからずある。

 

・神道
神道での葬儀は神葬祭と呼ばれます。
神道では死を穢れたものと考えるため、聖域である神社では葬式は通常おこなわず故人の自宅か葬斎場で行います。

 

式では中央の祭壇の脇に遺影を置き、祭壇の奥に置かれた棺の後方に故人の名前が書かれた旗が立てられます。
そしてその周りに灯明、榊、供物などをあしらえたりします。

 

式の一般的な大まかな流れは、まず神職が塩湯や大麻等によって遺族と参列者および会場を祓い清める修祓を行います。
そして神職により祖霊に供物である神饌を供します。

 

神職は祭詞を奏上し故人による生前の業績を述べ遺徳をしのびつつ、祖霊となって遺族を守ってくれるよう願うのです。
参列者は玉串をささげ、二拝二拍手一拝をおこない故人をしのびます。
このとき拍手は、音を立てない「しのび手」でおこなうようにします。

 

また、神道では、墓所を「奥都城」(おくつき)と呼び、墓石にも「○○家之奥津城(奥都城)」とすることが多いようです。
墓石の頂点を烏帽子に見立て、尖らせる等の外観上の違いもあります。

 

現代の日本の葬儀はほとんどは仏式で営まれています。
これは中世の日本において、鎌倉仏教の僧侶が葬儀や年季法要などを通じ庶民の救済を図ろうとしたことに由来します。

 

近年、菩提寺との関係が薄くなりつつあり神葬祭が仏葬より格安なため、葬儀の多様化に伴い増えつつあります。
天理教・金光教などの教派神道においても、神葬祭を元にした独自の葬儀を持っていることが多いようです。

 

・仏教
日本の葬儀の大部分は仏式(葬式仏教)で行われています。
浄土真宗、日蓮宗を除き日本の伝統仏教においては、葬儀は死者に対する授戒成仏が主たる意味を持ちます。

 

つまり、死者を仏弟子となるべく発心した者とみなし、戒を授け成仏させるための儀式でもあります。
浄土真宗では教義上、無戒のため授戒はなく、仏徳を讃嘆し故人を偲びつつ報謝のまことをささげる儀式となります。

 

日蓮宗では法華経を受持すること自体がすでに戒を保つことであるとして死後あらためて受戒を行いませんが、
地域によっては通夜の際に受戒作法を行う場合もあります。

 

 

・葬式時の祭壇の例
葬儀の流れは宗派や地方により多少異なります。
大まかな流れは、まず死後すぐに枕経を行い湯灌(遺体を拭き清める)をした上で納棺し通夜を行います。

 

翌日に葬儀と告別式を行い火葬・拾骨(又は土葬)します。
会場が葬儀場で営まれることなどから、本来7日後に行なう初七日を引き続いて行なうことが多いようです。

 

初七日は火葬を終えて自宅に帰る途中に菩提寺に立ち寄って行われるか、自宅に帰り還骨のお経を兼ねて行われます。
有名人などの葬儀で、密葬を行ったうえで本葬を行う場合、本葬終了後に初七日を行うケースもあります。
その場合は死後7日以上経過していても初七日として法要が行われます。

 

遺族は、死者の追善を7日ごとに49日間行うものとされ、この期間を中有または中陰と呼びます。
初七日はその最初の法要であり、現代では、この7日ごとの法要を全て行うことは生活変化から少なくなりつつあるります。

 

中陰法要の日は、初七日と七七日まで全て行えるよう参列者の都合を優先し、土曜や日曜に法要をずらすことが多いようです。
七七日法要は一般に壇払い、壇引きと呼ばれるもので、遺骨や位牌を安置していた中陰壇を取り払うことからこう呼ばれます。
壇払いを済ませると服忌期間が終了し、遺族は日常の生活に戻ります(いわゆる忌明け)。

 

・キリスト教
地域文化への適応という考え方から、現代日本におけるカトリック教会の葬儀は、通夜および葬儀という流れに沿っています。
六曜「友引」に葬儀を控えることは本来は無いのですが、火葬場が休業日になっているために日をずらすことがあります。
参列者のほとんどがカトリック信徒でない場合、参列者に配慮してミサに代えて「ことばの祭儀」が行われることもあります。

 

通夜では聖書の朗読、聖歌、死者への祈り、棺への献香と参加者による献花や焼香、遺族代表のあいさつなどが行われます。
通夜は教会で行われるとは限らず、自宅や葬儀場で行われることもあります。

 

葬儀は教会での「葬儀ミサ」という形で行われますが、状況に応じて自宅で行われる場合もあります。
ラテン典礼の「葬儀式次第」には、葬儀の行われる場所(家、教会、墓地)によって3種類の葬儀の方法が示されています。

 

・プロテスタント
プロテスタント葬儀は日本において仏教の葬儀様式に慣れた参列者の便宜を図り、前夜と当日との2日にわたり行います。
前夜の式典は、呪術的な必要から遺体を不寝番することを意味する通夜を避け、前夜式、前夜の祈りなどと呼びます。
前夜式は自宅で行う場合もありますが、教会堂で行うことも多くなっています。

 

告別式の式典は礼拝そのものであるため、その式次第は基本的に通常の日曜日の礼拝と同じです。
故人が地上で行う最後の礼拝と意味付ける教派もあるので、基本的に教会堂で行われます。

 

祈祷、聖書朗読、説教、賛美歌、祝福などにより構成され、友人による追悼の辞、遺族の挨拶、献花などが行われます。
故人の略歴の紹介・記憶の披露などは、牧師の説教に組み入れられることも別個の項目となることもあります。

 

キリスト教徒の比率が低い日本では、参列者はもとより遺族すらキリスト教徒で占められる事は稀です。
死を穢れと見なさないため「清め塩」は使われません。

 

・正教会
正教会では世界的に見ては土葬が基本であるが、日本正教会では諸々の事情により止むを得ず火葬が行われています。
正教会の奉神礼(礼拝)は立って行うことが基本です。

 

起立する姿勢は伝統的に「復活の生命に与って立つ」ことを象徴するとされるからです。
従って司祭・輔祭・詠隊(聖歌隊)は勿論、参祷者も埋葬式の間は継続して立ち続ける事が求められています。

 

正教会でも香炉は用いられ大切な習慣とされていますが、振り香炉を扱うのは司祭と輔祭であり参祷者は香炉に触れません。
参祷者が永眠者と対面する際には、棺への献花の習慣があります。

 

・無宗教
特定の宗教に依存しない葬儀もあります。
故人の宗教観や、会社/団体葬などの場合に行なわれることがあります。

 

宗教に依存せずとも、仏式における読経の部分をなくし、通夜や告別式等は通常通りに行なわれるだけの場合もあります。
特定の決まりはなく、式次第は主催者の裁量にゆだねられます。

 

お参りの仕方も献花や焼香と特に決まりは無く、自由度が高いぶん具体的なイメージがなかなか描きにくい部分もあります。
場合によっては、葬儀という名称でなく、「お別れの会」などと呼ばれることも多いようです。

 

一般的には、黙祷、送る言葉(弔辞)、献花もしくは焼香といった形で進行します。
無宗教といっても、宗教的な側面を一切排除する性質のものではなく、特定の宗教に偏らないことが強調されます。

 

宗教によっては、異なる宗旨で行なわれる葬儀への参列や焼香などを禁じているものも存在します。
遺族や参列者に異なる宗教的背景がある場合、それらに配慮して無宗教という方法で葬儀を行なう場合もあります。